中岡慎太郎　その1　　15歳　田野学館

■田野学館

「いまーのご公儀のまつりごつは、この海を狭くし、我が国を世界から取り残そうとしておる愚策じゃき」

間崎哲馬の物言いは、いささかの揺るぎもなかった。
15歳の慎太郎は心酔していた、、、この間崎という先輩は、、この国の「鎖国は愚行である」、、と言い放つ。
「海を狭くする、、、」室戸の海を見て育った慎太郎※には、なんとも明快な言葉だ、、、
※自問：慎太郎の生家は北川村で海から遠い山間部なのでどうかな？

土佐の藩校とも言える「田野学館」に通い始めた慎太郎にとって若干19歳の講師の間崎哲馬は憧れの先輩である、、。
聡明な間崎は諸事に通じ、特に算盤、和算問答では安芸から室戸岬にかける奈半利支庁内では勝てるものはいなかった、、
その一方では、、危険視もされていたらしい、、
「、、、間崎との付き合いに方には、充分気をつけよ、、」、、と慎太郎も言われている。
だが、、、15歳の慎太郎は、、間崎哲馬の一途な思いに、、、さらに惹かれていく

中岡邸跡地に建つ復元住居

■江戸勤番

江戸に藩主が起居するのは、藩の公用屋敷、、上屋敷となる、、ここに配属される藩士は上屋敷勤番藩士として、公儀に名簿提出を義務付けられる。
それ以下の中屋敷、下屋敷に配属される藩士はいちいち公儀に名簿を提出しなくてもよい、、

非番同然の暇な下級藩士は、、検分、、と称して外出をする。
「、、本日は湯島聖堂に検分にまいる、、」と当番に伝えて出かける、、が、、懐には「吉原細見」というガイドブックを忍ばせたりする。

どの藩でも下級武士の着衣は浅葱色（あさぎいろ）の木綿長着が、、中屋敷、下屋敷藩士の共通着らしい、、
サラリーマンの紺のスーツと同じである、、、。

昼間の吉原には、、、この紺のスーツ姿のサラリーマンが、、やたらと多く出回っていたらしい、、
武士であるから、、2本差し雪駄姿である、、、
町人と肩が触れ合うなどすれば、、、
「無礼者、、拙者を、、XX藩江戸勤番藩士と知っての無礼であるか！、、」
怒鳴りつけるのだから町人は、、
「浅葱色がうろうろしやがるから、、吉原で冷やかしもできねーや、、」とぼやく、、

江戸勤番になった岡崎哲馬は、、吉原検分には興味をもたず、まともな検分を通したという、、
「本日は品川港に検分にまいる、、品川港を見聞するは藩士の務め、、」
そして、、安積良斎（二本松藩校教授）、の私塾に通詰める、、、
安積良斎（まざきりょうさい）はオランダ語に通じ、、公儀からオランダ語の翻訳を依頼されている人物である、、
公儀の御用を受けながらも「開国論」を塾生に説くという、、、安積良斎であった。

安積良斎の門下となった岡崎哲馬は、土佐に帰り、、田野学館の講師として中岡慎太郎を引き付けている、、、
「慎太郎、、お前はただの山村の大庄屋で終わってはならぬ、、土佐を背負って立つ人材となれ、、」

安政二年（1855）、、慎太郎の人生に大きな転機が訪れる、、、、

武市半平太が田野学館に出張教授として剣術を教えることになった、、、
慎太郎は武市に敬服し、、武市を追って、高知の半平太の道場に入門する、、、
時代は大きく転回していく、、、、、、、

間崎哲馬は文久元年に武市湛山率いる土佐勤皇党に入り、、江戸、京都で活動するも、、安政の大獄で隠居となっていた土佐の元藩主（会長？）山内容堂に土佐に呼び戻され、文久3年6月8日（1863）死罪を申し付けられる、、享年30歳。

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武市瑞山（たけちずいざん、文政12年9月27日（1829年10月24日） – 慶応元年閏5月11日（1865年7月3日））は、幕末の志士、土佐藩郷士。土佐勤王党の盟主。通称は半平太で、武市半平太（たけちはんぺいた）と呼称されることも多い。