一週間後、、私はその女と会うために約束した料亭へと足を運んだ、、。
その料亭は、山中湖温泉随一の名所、こおろぎ橋のたもとにあった。、、、私は、、、この晩秋の、こおろぎ橋ほど美しい場所は無いと思っている。
そこには、私が初めて山中温泉に足を踏み入れた日に偶然あった、真っ赤なもみじの枝葉から見え隠れする、小さな木の橋があった。
、、その料亭を選んだのも、そこが超一流の料亭だったことや、この美しい季節のこおろぎ橋を見せつけ、環境の良さを自慢したい、、、という気持ちからだった。
<写真は山中温泉観光協会より>
とにかく最初から、その女の優位に立っていたかった。
、、、、、、、
負けた、、、、その時思った。私のように、いいや、私だけでは無い、敏子も、幸恵も、照子も、しのぶも、、、皆いつの間にか人生の裏側からしか人をみることができなくなっている自分達に、その時初めて気がついたのだ。そして今、世の中を真っ正直に、純粋に生きている人達がいるのも、、、。
<浴客の散歩道として有名な鶴仙狭を歩きながら、、私を捨てて、この女に惚れたあの男を、、「最後までちゃんと面倒見てあげて下さいな、、」と言える自分を、今は取り戻していた、、。>
2015.10.04 山中温泉 お花見久兵衛 女将 吉本佳代子著作より
シルバー4人組は、、上野から2時間半、、金沢からレンタカーで、福井へ、、今は永平寺より人気と言う恐竜館から永平寺、、東尋坊の夕日を堪能して、、、山中温泉に到着、、、旅館の壁に女将の小説作品数点のポスターが目にとまり、、、土産代りに一冊買って帰る、、、後で本の後ろのプロフィールの写真を見て、、しまった!と口ずさむほどに、、小説の主人公そのままのように美人な女将であった、、お会いできなかったのは惜しかった。
もっとも、、「こおろぎ橋」もそうだが、、小説は情景をホンモノ以上に膨らませる、、、、酒の酔いなのか、、風の囁きなのか、、宿の湯けむりの中に居た時に、、和服の似合う女将の声が聞こえたような、、気がする、、そんな旅の幻想もいい、、。
永平寺 法堂(はっとう) – 天保14年(1843年)の建築。聖観音(しょうかんのん)像を安置する。
そのほか仏殿 – 明治35年(1902年)の建築。本尊の久遠実成の釈迦・方便の釈迦・無量寿の釈迦(阿弥陀如来)の三世仏(過去・現在・未来を表す)の他、禅宗初祖の達磨像、道元の師である如浄禅師像などを安置する。
東尋坊の夕日 夕刻は展望台も閉まり、店舗も閉まりますから観光客は少ない、、夕日を見に行った、、と言うより、、到着時間が遅くなったので美しい夕日を観ることができた。
こうろぎ橋 山中温泉の散歩道途中にある、、正直、、それほどの景観とは言えないが、、苔むした石垣や渓谷を、、浴衣でゆっくりと散策すると心安らぐひと時が味わえる。おそらく、、この木橋が、、今は生活道ではなく、、湯の町のおもてなしの道にすることで、心を捉える観光スポットになったのでしょう。
観光案内だと、こんな風情となる↑
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